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近視の手術(屈折矯正手術)について
LASIK 最近、近視の手術を受ける人が増加しています。メガネやコンタクトレンズから開放されることに魅力を感じて、安易に近視の手術を受ける人が多いようです。いくつかの術式がありますが、そのほとんどは角膜に対して行うものです。代表的な術式はLASIK(レーシック)です。
LASIKというのは、まず、マイクロケラトームという電動式のカンナの一種で、角膜表面に薄いふた(フラップ)を作ります。次に、フラップをめくり角膜実質を露出させます。角膜実質面にエキシマレーザー(波長193nmの紫外線レーザー)を照射して組織を蒸散させることにより角膜の屈折力を調節します。最後に、フラップをもどして終了です。
この術式は、以前の術式に比べ安定した成績を収めていますが、まだいくつかの問題点があります。2009年にエキシマレーザー屈折矯正手術のガイドラインが改訂されました。
それには、「屈折異常の矯正において、眼鏡あるいはコンタクトレンズの装用が困難な場合、医学的あるいは他の合目的な理由が存在する場合、屈折矯正手術が検討の対象となる。
ただし、エキシマレーザー装置による屈折矯正手術の長期予後についてはなお不確定な要素があること、正常な角膜に侵襲を加えることなどから慎重に適応例を選択しなければならない」
とされています。

問題点は以下のようなものです。

  1. 短時間とはいえ、フラップ作成時に目に100mmHgを超える圧力がかかります。正常眼圧は10mmHgから21mmHgです。長期的な術後の目への影響が懸念されます。
  2. 夜間視において、ハロー(光に後光がさした様な輪が見える現象)やグレア(光が広がって眩しく見える現象)が出現します。
  3. ドライアイになります。術後 3ヶ月は100%の症例で出現します。涙液分泌が元にもどる症例もあれば、もどらない症例もあります。
  4. 角膜拡張症(術後に角膜中央部が前方へ突出する)になることもあります。角膜の切除量が多いと角膜が弱くなるからです。一定量以上に切除しないようガイドラインで決められています。
  5. フラップがずれることもあります。

数年前から、マイクロケラトームを使わず、フェムトセカンドレーザー(波長1053nmの近赤外線レーザー)を照射して、角膜フラップを作成する方法が開発されています。コ ンピュータ制御で行うため正確にフラップを作成することができます。

また、角膜厚が薄い例や、強度近視のため角膜を深く削る必要のある症例には、PRKやLASEK(ラーセック)などの術式が適しています。
PRKとは、まず角膜上皮を除去し、その後エキシマレーザーを照射する術式です。術後はコンタクトレンズを装用させ角膜上皮が再生するのを待ちます。

LASEK(ラーセック)とは、まず、20%アルコールを角膜表面に接触させることにより、角膜上皮の接着を弱くし、専用器具を用いて角膜上皮をめくります。次にエキシマレーザーを照射し屈折矯正を行う術式です。最後に、角膜フラップを元にもどします。この上皮フラップは約60μmと薄いので、角膜実質をより深く削ることが可能です。また、上皮は再生し入れ替わるので、角膜の強度は十分に保たれます。
この他にも、乱視に対する手術、老眼(眼科的には老視といいます)に対する手術、遠視に対する手術なども試みられています。また、角膜にリングを埋め込み屈折力を変える術式もあります。

以上は、角膜に対して行う手術ですが、最近では、強度近視の人を対象に、有水晶体眼内レンズ挿入術という手術も認可されています。
眼内レンズ挿入術は、主に白内障(水晶体の混濁)による視力低下の治療として、濁った水晶体を除去した後、人工水晶体を挿入するものですが、この有水晶体眼内レンズ挿入術は、透明な水晶体を温存したまま、薄い人工レンズを目の中(水晶体の前方)に挿入する手術です。これにより近視を矯正します。


この様に、色々な手術術式があり、各手術に関しても肯定的、否定的と眼科医によって考え方が異なります。現代は多くの情報があふれており、専門知識がない場合には、正しい判断を下すのが困難なこともあります。信頼できる複数の眼科医に相談することを、お勧めします。