見え方について
私は近視なので老眼にならないと言われましたが、本当でしょうか?
いいえ。近視でも、遠視でも、乱視でも、ある年齢になると老眼になります。正確に言いますと、きちんと矯正して(つまり、コンタクトレンズや眼鏡などで正視の状態にしておけば)、近視でも遠視でも老眼鏡が必要となる年齢は同じです。
ハマノ眼科で、遠近両用コンタクトレンズを使い始められる方の年齢は、42~43歳ぐらいです。その中には、遠視の方も、近視の方も、そして正視の方もおられます。
今まで、遠くの方は見えていたのに、近くをみるには老眼鏡がいりました。でも最近は、老眼鏡なしで近くがよく見えるようになり、その代わり、遠くは見えにくくなりました。どうしたのでしょうか?
おそらく、核白内障が進んだのでしょう。このタイプの白内障では、近視が進行することがあります。その場合、目はちょうど老眼鏡をかけたような屈折の状態となりますので、近くが見やすくなるわけです。でも、その分遠くは見づらくなります。
白内障だけではなく、ひとの目の近視、遠視、乱視の状態などは、年齢とともに少しずつ変化しています。見づらいと感じた時は、必ず眼科を受診して検査を受けましょう。
診察を受けて、乱視があると言われてびっくりしました。私の目は異常なのでしょうか?
乱視というと、「乱」という字があるため、悪いイメージを持たれる方が多いようです。しかし、診察していて、乱視のない目というのは非常に稀です。厳密に言えば、乱視のない目はないと言った方がいいでしょう。
ですから、軽度の乱視は、全く問題になりません。困るのは、ある程度以上強い乱視の場合です。乱視のおこる原因や程度によって、ハードコンタクトレンズが適している場合、乱視矯正用のソフトコンタクトレンズが適している場合などがあります。
乱視があるのでソフトコンタクトレンズはできないと言われました。本当でしょうか?
いいえ。乱視のある方でも多くの方はソフトコンタクトレンズをすることが可能です。ほとんどの人は多かれ少なかれ乱視があります。乱視が軽度の場合には、通常のコンタクトレンズで問題なく視力矯正をすることが可能です。
しかし、乱視の強い方は、通常のソフトコンタクトレンズで十分な矯正をすることができません。このような方には乱視矯正用ソフトコンタクトレンズ(トーリックレンズ)が必要となります。乱視矯正用ソフトコンタクトレンズには、いくつかの種類があります。乱視は、近視や遠視と異なり、乱視の方向がありますので、その方向に合わせてコンタクトレンズを処方します。
アレルギーについて
2~3月のスギ花粉の時期には、目はなんともないのですが、6月頃になると、目が かゆくてたまりません。これも花粉症でしょうか?
おそらく、イネ科植物の花粉に対するアレルギー性結膜炎でしょう。 これも、花粉症のひとつです。初夏の花粉症を引き起こす原因としては、スズメノテッポウ、カモガヤ、ホソムギ、ハルガヤなどのイネ科の植物が 多いようです。日本では、1月から10月までは、いろいろな種類の花粉が飛散しています。つまり、この期間は、花粉症がおこる可能性があるといえます。
秋になると毎年目がかゆくなります。秋にも花粉症はあるのですか?
日本列島では、1月から10月頃までいろいろな種類の花粉が飛散しています。 秋の花粉症を引き起こす代表的なものは、キク科の植物(ヨモギ・ブタクサなど)です。 花粉の飛散開始2週間前から、抗アレルギー剤の予防投与をすると、花粉症の症状が出ないか、出ても軽症で済むことが分かっています。毎年花粉症が出る方は、眼科医に予防投与についてご相談下さい。
アレルギー性結膜炎と言われました。どんなコンタクトレンズをすればいいのでしょうか?
目の知識「アレルギー性結膜炎の話」を参照して下さい。
アレルギー性結膜炎になっているときには、なるべくコンタクトレンズを中止して、目を休ませましょう。どうしてもコンタクトレンズを中止することができない場合は、アレルギー性結膜炎の原因物質や目からの分泌物が蓄積しない、1日使い捨てタイプのコンタクトレンズを選びましょう。ただし、眼科医の診察を受けるようにして下さい。
点眼薬について
よく目が赤くなります。充血止めの点眼薬を使っていますが、コンタクトレンズを使用している目に使っていいですか?
充血をとることを主にうたっている点眼薬があります。これらには、血管収縮剤が含まれています。そのため、点眼すると血管が収縮することにより目が白くなり、目の赤さが消えます。このような作用があるので、常用する方も多いようです。
しかし、問題が2つあります。
第1は、このような点眼薬を常用していると、血管が常に弛緩した状態になってしまい、かえって常に充血した目になってしまう可能性がある点。
第2に、充血は目に何らかの異常があるということの警報です。例えば、目に感染症が起こった場合、このような充血止めの点眼薬を点眼しているうちに、手遅れになる可能性もあります。目が赤くなったら、まず眼科を受診して、眼科医に相談されることをおすすめします。
夜、寝る前に点眼をしてもいいのですか?
夜、寝る前に点眼しても何の問題もありません。
なぜ、「寝る前に点眼してはいけない」 という変な迷信ができたのかを調べてみました。以前(50~60年前まで)、1つだけ、亜鉛を含んだそのような点眼薬があったそうです。その点眼薬を処方されるときには、確かに寝る前に点眼してはいけませんという指示が行われていたようです。それが拡大解釈されて、すべての点眼薬に当てはめられていったというのが真相のようです。また、夜間は涙液がほとんど分泌されません。ですから、ドライアイの患者さんにとって、 夜寝る前の点眼は、大変重要になります。
コンタクトレンズをしていますが、はめたまま点眼をしてもいいのですか?
ハマノ眼科では、基本的に、コンタクトレンズ装用中の点眼を特に問題とは考えていません。また、最近の報告でも、コンタクトレンズ装用中に点眼を行っても、問題のおこる可能性はほとんどないと言われています(眼科で処方される点眼薬に限っては、ですが)。
では、なぜこのようなことが言われるほうになったのでしょうか?多くの点眼薬の中には、細菌の繁殖を防ぐための防腐剤が含まれています。この防腐剤は、通常点眼しても、特に目の細胞に影響を与えない、ごく低濃度に設定されています。ただ、長期間点眼していると、この防腐剤がコンタクトレンズに蓄積して高濃度になり、それが原因で眼障害をおこす可能性があるということで、コンタクトレンズをしているときには、点眼をしてはいけないという考えが広まったようです。
防腐剤の蓄積に関しては、コンタクトレンズによっては、そのようなことがおこる可能性を完全に否定することはできません(1日使い捨てタイプでは、蓄積の問題を考える必要は全くありません)
しかし、実際に多くの眼科医が報告しているように、臨床の現場で問題になるようなことはほとんど起こっていません。眼科で処方され、眼科医がコンタクトレンズをしながら点眼してもよいと言った点眼薬は、安心してお使い下さい。
その他
目を洗う洗眼薬がいろいろと発売されていますが、コンタクトレンズをしている目に使っても良いのですか?
この洗眼薬については、以前から眼科医の間で問題になっています。実は、洗眼薬が広く使われ始めた頃から、コンタクトレンズ装用者の間に、今まで経験したことのないような上皮障害を起こして受診する患者さんが増えるようになりました。
いろいろと問診をしてみると、そのような患者さんに共通の因子として、洗眼薬の常用があることがわかりました。このような事例は、学会で報告されており、洗眼薬による眼障害の論文もあります。
人間の目は、涙で潤されている状態が最も良く、意味のない点眼薬や洗眼薬の常用は、目の正常な環境のバランスを崩すおそれがあります。ハマノ眼科の意見として、コンタクトレンズをしている、いないにかかわらず、洗眼薬の常用はお勧めできません。
眼科で、眼圧が高いので一度視野の検査を受けるように言われました。眼圧とは何ですか?眼圧が高いと何が悪いのですか?
目の中には、栄養などを運ぶ房水と呼ばれる液体が流れています。この房水は、毛様体で作られ、シュレム管から排出されています。目の形は、 この房水の圧力によって保たれています。この圧を眼圧と呼びます。この圧が高くなると、視神経が萎縮し、見える範囲(視野)が徐々に狭くなります。これを緑内障と呼びます。初期の緑内障は、眼底検査では発見できず、視神経の機能を調べる視野検査が必要となります。
また、最近では、眼圧は正常なのに、視神経萎縮が進行する、正常眼圧緑内障という病気が日本人に多いことが分かってきました。最近の疫学調査の結果、40歳以上の人口の、実に5.8%に 緑内障があることが分かっています。
たばこは目に悪いと聞いたのですが、本当ですか?
本当です。特に、疫学調査で明らかになっているものとしては、白内障と黄班変性症と呼ばれる疾患があります。白内障とは、目のピント合わせの機能を司る水晶体が濁る病気です。
治療は、手術により、混濁した水晶体を摘出し、人工水晶体を挿入する方法が一般的です。黄班というのは、人の網膜の中心部で最も視力に大切なところです。この部分が変性すると、中心部の視力が大幅に低下します。いろいろな治療法が試みられていますが、あまり有効なものはありません。
たばこは、体にいろいろと害を与えますが、目でも障害を引き起こします。