涙の流れはどうなっているの?
涙は、涙腺から分泌され、まばたきのたびに目の表面に広がり、目の表面を乾燥から守っています。そして、目頭の上下にある涙点という直径0.2mm程度の小さな穴に吸い込まれ、鼻の奥の方へと流れます。最終的には飲み込まれていると考えてもいいでしょう。 また、10%程度は目の表面から蒸発します。
涙はどんな構造をしているの?
涙の層は、厚さ7μm(=0.007㎜)ほどの本当に薄い膜ですが、下から順に、 水/ムチン層、油層に分かれています。目の表面の細胞(結膜上皮細胞と角膜上皮細胞)につながっている膜型ムチンは、本来水をはじく性質をもつ目の表面を親水性にします。これにより、水/ムチン層が、目の表面をなめらかに覆うことができると考えられます。表層の油層は、涙の蒸発を防ぎます。
涙の量はどれくらい?
私達の目の表面は、常に涙によって覆われています。この涙の量というのは、本当に少ないものです。また寝ている時は、ほとんど分泌されません。起きている時間を16時間とすると、1日の涙の量は、0.7gと言われています。1年分の涙を全部集めても牛乳瓶(180cc)2本分にも満たないのです。また、涙の分泌量は、10歳代を境に年齢と共に低下していきます。ある年齢まで何の問題もなくコンタクトレンズをしていた方が、急にうまくいかなくなるのは、涙の量が減っていくことに原因があることが多いようです。
涙の役割とは
- 殺菌成分や免疫成分を含んでいて、目を外界からの微生物による感染から守る。
- 目の表面を滑らかにして角膜が目の主レンズとして光学的に働くようにする。
- 目の表面を常に濡れた状態にして、目の表面の細胞を保護する。
- 目の中のゴミを洗い流す。
最も大切な働きとしては、目の表面の保護が挙げられます。目の表面は、透明な細胞層によって構成されていますが、この細胞は乾燥に大変弱く、乾くと死んで脱落してしまいます。
涙が減るとどうなるの?
涙が減って、目の表面の細胞が乾いて死ぬと、目に小さな傷ができます。目の表面は、人体の中でも最も神経が集まっているところの一つで、ほんの小さな傷でも、敏感に違和感や異物感としてとらえます。これがドライアイの症状となります。涙の分泌は、自律神経によってコントロールされています。ゆったりとした気分の時には出やすく、緊張した時には出にくくなります。
目の乾きを感じる方は、ゆったりとした気持ちと十分な睡眠を忘れないようにしましょう。